1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/04(水) 08:41:54.52 ID:KnFkxzUw0
リリリリン……リリリリン……

士郎「セイバー!!悪いけど、電話にでてくれー」

セイバー「はい」

セイバー「……はい、衛宮ですが」

『我我、我だ』

セイバー「は?いや、オレオレといわれても、名前を名乗ってもらえませんか?」

『何?我の声が聞こえぬというのか?』

セイバー「いや、聞こえてはいます」

『なぁんだ。ならば、分かりきっているだろう?我だ』

セイバー「……」ガチャン

セイバー「シロウ、悪戯電話でした」

3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/04(水) 08:45:29.11 ID:KnFkxzUw0
リリリン……

セイバー「む?」

士郎「セイバー」

セイバー「分かりました。―――はい、衛宮ですが」

『我だ。我我』

セイバー「……」

『まだ分からぬというのか?』

セイバー「そうですね」

『ふん。まあ、よい。今日は特別機嫌がよくてなぁ。ヒントをやろう』

セイバー「……」

『第1ヒ―――』

セイバー「……」ガチャン

士郎「セイバー?誰からだった?」

セイバー「悪戯です」

士郎「そうか。はた迷惑な奴もいるんだな」

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/04(水) 08:50:07.43 ID:KnFkxzUw0
士郎「セイバー、お茶にしようか」

セイバー「ありがとうございます」

リリリリン……

セイバー「無粋な奴だ。これから間食の時間だというのに」

士郎「セイバー、悪い」

セイバー「分かりました。―――はい」

『我だ』

セイバー「だから、どなたなのですか?」

『ふふん。愛いやつめ。そんなに我の口から名を出させたいのか?』

セイバー「当然でしょう?」

『だがなぁ!!!思考を停止させることなど愚の骨頂!!!雑兵や下民のすることだ!!!』

セイバー「つまり、貴方は私が愚昧な人間だと仰りたいのですか?」

『そうだな。自分で考えない愚か―――』

セイバー「……」ガチャン

士郎「セイバー?また、悪戯か?」

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/04(水) 08:57:06.91 ID:KnFkxzUw0
セイバー「はい。これからシロウとおやつだというのに、気分を害されてしまいました」

士郎「え……。じゃあ、この大判焼き、いらないのか?」

セイバー「いや、折角用意していただいたモノですから」

士郎「よかった。……ところで、電話の内容は?」

セイバー「分かりません。まるで要領を得ませんでした。一向に名を名乗ろうともしませんし」

士郎「えー?気持ち悪いな」

セイバー「あまつさえ、この私を愚かだと罵ってきました。許せません。電話の相手が目の前に居れば叩き切ります」

士郎「じゃあ、今度電話が鳴ったら俺が出るよ」

セイバー「いいのですか?」

士郎「一応、家主だしな」

セイバー「シロウ……。やはり、私のマスターは信頼に足る人物です。ここに来ることができた私は幸せです」

士郎「あ……えっと……そう言ってくれると……嬉しいな……」

セイバー「しふぉう……だいふきでふ……」モグモグ

士郎「……俺も」

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/04(水) 09:02:27.92 ID:KnFkxzUw0
士郎「―――あ、そろそろ買い物に行かないと」

セイバー「お気をつけて」

士郎「あれから電話も鳴らなかったし、もう諦めたのかもな」

セイバー「そうでしょう」

士郎「じゃあ、留守番頼むな」

セイバー「はい。お任せを」

セイバー「……」

リリリリン……リリリリン……

セイバー「……」スクッ

セイバー「はい、衛宮ですが?」

『我だ。我我。少しばかり用事ができてしまってなぁ。すぐに掛けることができなかった』

セイバー「いい加減にしてください!!!」

『何を!?この我が直々にこうして声を届けてやっているというのに、何様だぁ!!!貴様ぁ!!!』

セイバー「では、名を名乗れ!!!そちらのほうが無礼だ!!!」

『はっ!!悪いが名乗れと言われて名乗るほど、安い名前は持ち合わせていなくてなぁ』

17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/04(水) 09:07:04.26 ID:KnFkxzUw0
セイバー「な、んだと……!!」ギリッ

『ふはははは。いいから、当ててみろ?お前なら簡単に分かるはずだ』

セイバー「……」

『どうやら、分からないと見える。いいだろう、そこまで渇望されては我の名の傷を残すというのものだ』

セイバー「……」

『いいか!!よぉくきけぇ!!!最初の一文字は『ギ』!!いいか!!ギ、だぞ!?』

セイバー「ギ……?」

『そうだ?もう分かるな?ほれ、答えてみよ?』

セイバー「さようなら」

『え―――』

ガチャン

セイバー「もう勘弁してください……」

リリリリン……!!!

セイバー「……っ」ビクッ

セイバー「……は、はい?衛宮……ですが?」

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/04(水) 09:11:19.17 ID:KnFkxzUw0
凛『セイバー?どうしたの?声が若干震えてたけど』

セイバー「あぁ……リン……よかった」

凛『どうしたのよ?変なセイバーね』

セイバー「いえ。それで用件は?」

凛『ああ。今日はそっちにいけそうにないから、ご飯はいらないって士郎に伝えてくれる?』

セイバー「わかりました」

凛『じゃあ、よろしくぅ』

セイバー「はい」ガチャン

セイバー「はぁ……」

リリリン……

セイバー「……はい?」

『我―――』

ガチャン

セイバー「……誰だ……!!!」

セイバー「どうする……なんとかして……撃退する方法を考えないと……」オロオロ

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/04(水) 09:17:42.75 ID:KnFkxzUw0
セイバー「……」チラッ

セイバー(シロウの帰宅は少なくとも30分から1時間ぐらいかかる)

セイバー(リンは帰ってこない。サクラも今日は間桐邸に戻っている……)

セイバー(ライダー……!!いや、彼女の手を借りるぐらいなら、自分の手で解決する!!)

セイバー(しかし、目に見えぬ相手となど、あまり経験が……)

リリリリン……

セイバー「きたっ……!!!」

リリリリン……

セイバー「……はい?」

大河『セイバーさん?士郎いるー?』

セイバー「タイガ!!丁度よかった!!」

大河『なになに?何かあった?』

セイバー「それが先ほどから意味不明な電話が掛かってくるのです!!」

大河『えー?なにそれ、こわー』

セイバー「何か解決策を伝授してもらえませんか?!お願いします!!」

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/04(水) 09:24:58.18 ID:KnFkxzUw0
大河『電話線抜いちゃうのは?』

セイバー「それだと、緊急の連絡すら届かなくなります」

大河『そっか。他には家にいないのよね?』

セイバー「ライダーはいますが。今は読書に集中していて部屋から出てくる気配はありません」

大河『でも、セイバーさん、声だけでしょ?なんでそんなに怖いの?』

セイバー「怖いというか……嫌なものと対峙しているような気がしてならないのです」

大河『ふーん……とりあえず、相手の話に合わせて見るってどう?』

セイバー「どういうことですか?」

大河『悪戯電話を掛けてる人って寂しがりやが多いってテレビで見たことあるから、適当に話していればそのうち満足して掛けてこなくなるかも』

セイバー「なるほど……そういうものですか」

大河『そうそう』

セイバー「ありがとうございます。タイガに相談して正解でした」

大河『ああ、そうそう。士郎に―――』

ガチャン

セイバー「相手に合わせる……か。恐れることはない。相手は所詮電話の向こう側。こちらに飛び掛ってくることはありえない」

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/04(水) 09:30:22.99 ID:KnFkxzUw0
リリリリン……

セイバー「ふぅー……」

リリリン……

セイバー「はい、衛宮です」

『我だ』

セイバー「お待ちしていました」

『何?』

セイバー「まずは名乗ってください」

『ふんっ。何を言ってる?何度もいうように、軽々しく言霊に乗せることなどできぬほど、我の名は神々しい』

セイバー「つまり、簡単には名乗れない。名前を知りたければ、当てて見せろ。という訳ですね?」

『そうだ。流石だな。ふはははは』

セイバー「では、ええと……」

『ヒントか?』

セイバー「はい。『ギ』だけでは候補が多すぎます」

『残念だが。ヒントは一つだけだ。お前なら解けて当たり前の問いだぞ?』

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/04(水) 09:38:14.95 ID:KnFkxzUw0
セイバー「待ってください!!貴方は確か、第1ヒントだと言ったはずです!!」

『気が変わった。残念だったな』

セイバー「そんな理不尽なことが許されるとでも思っているのですか?!」

『許されるな。我なら』

セイバー「なんだとぉ……?!」

『ほれほれ。早く言え。我もお前の口から名が出てくるところを一日千秋の想いで待っているのだぞ?』

セイバー「しかし……ギ……ギ……ギ……?」

『はやくしろ』

セイバー「分かっています!!……えーと……ギ……ギ……」

セイバー「ギアリング・レシオ?」

『ほう?』

セイバー「正解ですか?!」

『ぶー』

セイバー「……っ」イラッ

『はんっ!!貴様の蒙昧っぷりに腹が捻り切れそうだぞ!!!あーっはっはっはっはっは!!!!』

37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/04(水) 09:48:11.08 ID:KnFkxzUw0
セイバー「しかし!!情報が少なすぎます!!!」

『はぁ……あまり我を失望させるな』

セイバー「一文字だけでは無理がある!!!」

『わかった。そこまで懇願されるとは……いいだろう!!特別に第2ヒントをくれてやろうではないかぁ!!!』

セイバー「はい」

『よく聞けよ?……最後の文字は『ュ』だ』

セイバー「え?!よく聞こえませんでした!!もう一度言ってください!!」

『それはできんなぁ!!良く聞けと忠告もしたのだからなぁ!!』

セイバー「くっ……!!」

『さあ!!答えろ!!!我の名をぉ!!!!ふはははははははは!!!!』

セイバー「……?』

セイバー「なんだ……?ますますわからない……」

『早くしろ?我も気が長いほうではない』

セイバー「なら、このまま切っても……」

『だが!!!今日は最高に気分がいい!!!いつまでも待ってやる!!感謝するがいい!!!』

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/04(水) 09:54:28.49 ID:KnFkxzUw0
ライダー(先ほどから騒がしい……。セイバーは一体、何を発狂しているのでしょうか?)

セイバー「ギ……ギ……ギニョール?」

『ぶぶー』

セイバー「……っ」ギリッ

『本当に分からないのか?それとも、ワザと焦らしているのか?」

セイバー「……」

『まぁ、どちらにしても愛でてやろう。ふはははははは!!!!』

セイバー「くそ……!!」

ライダー「セイバー?」

セイバー「ライダー!!」

ライダー「読書に集中できないので、少しばかり静かにしてもらえませんか?」

セイバー「……わかりました」

ライダー「お願いします」

セイバー「貴方の所為で怒られたではないですか」

『我の所為にするな。勝手に吼えているのは貴様のほうではないかぁ』

45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/04(水) 10:30:49.54 ID:KnFkxzUw0
セイバー「はぁ……」

『さぁ、言え。次に進むことができないだろうが』

セイバー「次ってなんですか?」

『お前が我の名前を言えたら、教えてやろう』

セイバー「貴方に良く似た人を私は知っています」

『ほう?誰だ?まあ、我に近い存在などこの世が創造されてから一人たりともいないだろうがな』

セイバー「一度会えば、侮蔑の限りを私に吐き、玩具のように弄ぶ……最低な人物です」

『何だそれは。我とは髪の毛の一本ほども類似するところはないなぁ』

セイバー「そうでしょうか?」

『我は常に紳士だからな。あーっはっはっはっはっはっはっは!!!!』

セイバー「……」

『で、名前は?』

セイバー「わかりません」

『ふんっ。考えることを止めるとは……愚かだなぁ……猿にでもなったつもりか?ならば我が飼ってやってもいいぞ?首輪をつけてな!!!』

セイバー「貴方は自分の言っていることが支離滅裂であることを自覚しているのですか?!」

50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/04(水) 10:40:19.57 ID:KnFkxzUw0
『はんっ。我がルールだ。我の言ったことが全て正しい』

セイバー(まるっきり英雄王だ……)

セイバー「……!」

セイバー(最初の文字がギ……そしてこの口調……最初から背筋を撫でている悪寒……)

セイバー(こいつ……)

『どうした?威勢が途絶えたようだが?』

セイバー「……ちょっと待ってください」

『よかろう』

セイバー「……」ガチャン

セイバー「―――ライダー」

ライダー「なんですか?」

セイバー「少し手助けをお願いしたいのですが」

ライダー「おや。貴女が?珍しいこともありますね」

セイバー「いいから、こちらに」

ライダー「……?」

53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/04(水) 10:44:32.45 ID:KnFkxzUw0
ライダー「なんですか?」

セイバー「今から数秒後に電話が鳴ります」

ライダー「それで?」

セイバー「電話の相手を泣かせてください」

ライダー「は?」

セイバー「幸い、貴女と私の口調に大きな違いはありませんから、きっと入れ替わっても相手は気づかないでしょう」

ライダー「どういうことですか?」

セイバー「お願いします」

ライダー「いや……」

リリリリリン……

セイバー「どうぞ」

ライダー「……はい、衛宮ですが?」

『どうだ?分かったか?我の名は?』

ライダー「……」

『おい。まさか、こんなにも待ってやっているのに、まだ分からないとほざく気か?いい加減にしろ』

56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/04(水) 10:52:45.33 ID:KnFkxzUw0
ライダー「申し訳ありませんが、分かりません」

『なに?ふふふ……ふははははははは!!!!!!わからん?!わからんだとぉ?!』

ライダー「ええ」

『これは傑作だ!!!お前は猿にも劣る知能だったわけかぁ!!!』

ライダー「そうかもしれませんね」

『ふふ……まぁ、いいだろう。そこもお前の愛いところだ』

ライダー「そうですか」

『仕方がない……特別だ。心して聞くがいい。第3のヒントだ!!!』

ライダー「はぁ……」

『ギルガ……おっと!!ここまでだ!!さぁ!!どうだ!!!ここまで言えばわかるだろう!?』

ライダー「……」

『言え!!!我の名を高らかになぁ!!!!あーっはっはっはっはっは!!!!』

ライダー「申し訳ありませんが、ギルガという三文字から始める奇特で奇抜でバカバカしい名前の人物に心当たりがないのですが?」

『な……に……?』

ライダー「お掛けになった番号をお確かめの上、もう一度お掛け直しください」

62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/04(水) 11:04:18.74 ID:KnFkxzUw0
『貴様……本気で言っているのか……?』

ライダー「はい」

『ほほう……。どうやら、鳥並みの記憶力だったようだな、お前はぁ!!!』

ライダー「うるさい」

『いいか!!!天地創造の乖離剣!!!どうだ!!!これが我を表す、最大のヒントだぁ!!!』

ライダー「乖離剣?」

『エヌマエリシュ!!!』

ライダー「はぁ……天地創造だの乖離剣だの、エヌマエリシュだの……今時、中学生の自由ノートぐらいにしか見ませんよ、そんな単語」

『なっ……?!』

ライダー「貴方。年齢は?いい年齢で、そのような世迷言を言っているとしたら問題ですよ?親が悲しみます」

『ふざけるなぁぁ!!!!きさまぁぁ!!!下手に出ていればつけ上がる……!!どこまで堕落したのだぁ!!!』

ライダー「いや。こんな時間に長々と迂愚な貴方と会話しているだけ、感謝してほしいところなのですが」

『どこまで……我を虚仮にするぅぅぅ……!!!!』

ライダー「いいから、もう終わりましょう。貴方の名前になんて興味がないですから」

『ギルガメッシュ!!!!!我の名はギルガメッシュだぁぁぁ!!!!その白痴な耳朶に刻んでおけ!!!』

68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/04(水) 11:13:06.67 ID:KnFkxzUw0
ライダー「……」

『はぁ……はぁ……』

ライダー「すいません。今、なんて?」

『ギルガメッシュだぁ!!!!』

ライダー「あの、声が大きすぎて割れているんです。もっと声量を抑えてください」

『ギ……ギルガメッシュだ……。これで聞こえたであろう?』

ライダー「すいません。もう一度」

『ギルガメッシュだ』

ライダー「ギルガメ?申し訳ありません。爬虫類の知識はありませんので、どのようなカメですか?」

『ギギギ……!!!!!ギルガメッシュ……だと……言ったぞ……!!!』

ライダー「カメのメッシュ?甲羅でも染めるのですか?動物虐待に当たるのでは?」

『きさまぁぁぁぁぁ!!!!!いい加減にしろ!!!!!分かっているはずだぁ!!!!』

ライダー「うるさい」

『我は天上天下唯我独尊!!!!我以外は全てが雑種ぅ!!!!唯一の絶対的な王!!!ギルガメッシュだぁ!!!』

ライダー「頭、大丈夫ですか?」

74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/04(水) 11:20:32.00 ID:KnFkxzUw0
『おのれぇぇ!!!おのれぇぇぇ!!!!!!!』ダンッ

ライダー「もう満足しましたか?こちらにも用事があるのですが」

『ぬかせぇ!!!このままで終わらせるかぁぁぁ!!!!』

ライダー「……」

『セイバー……我だ!!!何度も剣を交え、愛でてやっただろう!!!』

ライダー「そういわれても」

『なぜだぁぁぁ!!!!!わ、わかった!!ならば、この声を聞けば一目瞭然だ』

ライダー「一目瞭然って、貴方の姿は見えていませんが」

『ゲート・オブ……バビロン!!!!』ドンドンドンドン

ライダー「……」

『どうだ!!セイバァ!!!!我だ!!!思い出したかぁ?!』

ライダー「先ほどから王だのバビロンだの言っていますが、ここは日本ですよ?」

『おい……』

ライダー「日本に王様はいません」

『おいぃぃぃぃ!!!!!』ドンドンドンドン

83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/04(水) 11:28:54.64 ID:KnFkxzUw0
ライダー「また、バビロンですか?何をしているのか知りませんが、やめたほうがいいかと」

『いいから思い出せ!!!なぜだぁ!!!!我のことを忘れる奴など、今までみたことがなぁい!!!!』ドンドンドンドン

ライダー「もうバビロンゲートはやめてください。うるさいので」

『これは床を叩いている音だぁ!!!たわけぇ!!!!それにゲート・オブ・バビロンだぁ!!!!』

ライダー「どうでもいいです」

『くっ……!!!』

ライダー「もう終わりですか?」

『セイバー……我だ……ギルガメッシュだ……』

ライダー「だから、知りません。電話番号を間違っているのでは?」

『そんなことはなぁい!!!何度も何度も何度も何度も確認したぁぁぁ!!!!間違えるはずが無い!!!!』

ライダー「そうですか」

『セイバァ!!!どうしたぁ!!?なにがあった?!我を忘れるなど、あり得ないことだぁ!!!』

ライダー「カメさん。もう不毛な時間を過ごすのはやめましょう。お互いにとってなんの益も生みません」

『カメじゃなぁぁい……!!!ギルガ……メッシュ……だぁぁ……』

ライダー「だから、何ガメですか?ゾウガメ?」

89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/04(水) 11:33:54.01 ID:KnFkxzUw0
『カメじゃ……ないぃ……』

ライダー「じゃあ、なんですか?もしかして毛染めの新しい手法ですか?」

『違う……名前だ……なまえ……』

ライダー「ギルガメッシュ?大変変わった名前ですね。どのような漢字が当てられるのですか?」

『……ぅぅ……』

ライダー「……セイバー」

セイバー「なんですか?」

ライダー「私の役目は果たしました。このあとは?」

セイバー「代わります」

ライダー「全く……なんですか、これは?」

セイバー「それは私にも皆目検討がつきませんが、これだけははっきりしています」

ライダー「なんですか?」

セイバー「迷惑だと知ってもらわないと、この手の輩は何度も同じことを繰り返す」

ライダー「正論ですね。では、私は部屋に戻ります」

セイバー「お疲れ様でした」

96: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/04(水) 11:41:08.90 ID:KnFkxzUw0
『うぅぅ……無礼だ……せいばぁ……』

セイバー「あの……」

『万死に……あたいするぅ……ぅぅ……この……我を……もてあ……び……ぃ……』

セイバー「もしもし?」

『カメじゃ……ない……』

セイバー「英雄王ギルガメッシュ」

『え……』

セイバー「世界最古の王。様々な宝具の原典を有し、数多の英雄の頂点に立つ者」

『……』

セイバー「……違いましたか?」

『……そうだ』

セイバー「そうですか。よかった」

『……なんだ……わかって……いるではないか……』

セイバー「当然です。貴方の声などすぐに分かります」

『じゃあ……別に意地悪しなくても……よくないか?』

111: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/04(水) 11:49:50.54 ID:KnFkxzUw0
セイバー「あのような電話を何度も掛けてこられる身にもなってください」

『……』

セイバー「貴方が頻繁に掛けてくるために、一番大事な連絡が届かないのかもしれないのです」

『そうか』

セイバー「用があるなら簡潔に述べ、長時間の通話を控える。それが現代の常識です」

『うむ』

セイバー「電話を掛けてくるなとはいいません。一回の電話で用件を伝えればいいのです。10分と掛からないはず」

『そうだな』

セイバー「それで?なにか?」

『え?』

セイバー「名前を言い当てれば次に進むと言っていたではありませんか」

『ああ……そうだったな』

『―――では、次に進むとするかぁ。いいか!!第1のヒントだぁ!!!!』

セイバー「貴方の電話番号を着信拒否にしてもいいのですよ……?」

『すまん』

119: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/04(水) 11:55:54.31 ID:KnFkxzUw0
セイバー「で、なんですか?」

『ええと……あれだ、今度の週末に最高級のレストランを予約しておいたのだ。究極のディナーを振舞ってやろう!!』

セイバー「はい」

『当然……いくであろう?セイバー?』

セイバー「週末って……金曜日ですか?」

『土曜日だ』

セイバー「お昼なら」

『ディナーだ』

セイバー「お昼しか予定が空いていないのですが」

『セイバァ!!!昼はランチだぁ!!!!』

セイバー「朝はモーニングです」

『夜は!?』

セイバー「主にディナー」

『そういうことだ』

セイバー「ですが、お昼でお願いします」

126: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/04(水) 12:02:40.34 ID:KnFkxzUw0
『ええい!!!なんでそうなるぅ!!!』

セイバー「ならば、大変心苦しいですが……」

『まて!!なぜだぁ!!!最高級の食材が貴様を待っているのだぞ!?心惹かれるであろう?!』

セイバー「確かに惹かれますが、その日の夜はシロウたちと焼肉の食べ放題に行くので……」

『そんな下民の食物で満足するというのかぁ?!』

セイバー「ええ。それがなにか?」

『うぐっ……!?』

セイバー「そもそも、昼も夜も違いなんて……」

『夜景とかあるぞ』

セイバー「ああ。でも、食事と景色はなにか因果関係が?」

『……』

セイバー「英雄王?都合が悪いのでしたら無理にとは……」

『わかった……昼だ!!!土曜日の昼だぞ!!!セイバー!!!!カレンダーに金色のマーカーで印をつけておけぇ!!!』

セイバー「はい。楽しみにしています」

『そ、そうか……よしよし……ではな!!』

137: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/04(水) 12:09:06.95 ID:KnFkxzUw0
ライダー「終わりましたか?」

セイバー「ええ」

ライダー「にしても、結構楽しかったですよ」

セイバー「悪い顔になっています。自重してください」

ライダー「元からこういう顔なのですよ」

セイバー「……」キュッキュッ

ライダー「なんですか?」

セイバー「この日の昼に英雄王と食事に行ってきます」

ライダー「この日は皆で外食では?」

セイバー「夜からでしょう?」

ライダー「セイバー。それは次の週ですよ?」

セイバー「え?」

ライダー「この日はサクラがランチバインキングに皆で行くと言ってたではないですか」

セイバー「む……」

ライダー「どうするのですか?」

145: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/04(水) 12:12:48.37 ID:KnFkxzUw0
士郎「ただいまー」

セイバー「シロウ」

ライダー「おかえりなさい」

士郎「ライダー、読書は終わったのか?」

ライダー「まあ、中断です」

士郎「それはよかった。じゃあ、飯にしようか」

ライダー「はい」

セイバー「……」

士郎「ん?カレンダーのこの印……なんだ?」

セイバー「あ……シロウ……それは……」

士郎「どうした?」

ライダー「セイバーが英雄王と食事の約束をしてしまったようです」

士郎「え?でも、この日は……桜と……」

セイバー「はい……。困りました」

士郎「んー……ギルガメッシュの約束なんて、別に破ってもいいんじゃないか?」

159: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/04(水) 12:18:32.99 ID:KnFkxzUw0
ライダー「同感です。何をされるかわかりませんし」

セイバー「しかし……」

ライダー「大丈夫です。向こうの電話番号ならディスプレイに表示されていますから」

セイバー「……」

士郎「どうする?セイバーに任せるけど」

セイバー「分かりました。英雄王に話をしてみます」

士郎「わかった」

セイバー「……」

セイバー「……」ピッピッ

セイバー(出るだろうか……)

ツー……ツー……

セイバー「む……?」

セイバー「もう一度……」

ツー……ツー……

セイバー「繋がらない……この電話番号ではないのか……?それとも何かトラブル……?」

166: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/04(水) 12:25:08.06 ID:KnFkxzUw0
セイバー「ふむ……」

ライダー「もう断ったのですか?」

セイバー「いえ、それ以前に繋がりませんでした」

ライダー「おや……どうして?」

セイバー「さぁ……」

士郎「ギルガメッシュもただ冗談を言いたかっただけじゃないのか?」

セイバー「え?」

ライダー「なるほど。食事に誘うまでが悪戯電話だと」

士郎「その可能性もあるよな。ギルガメッシュだし」

セイバー「確かに……」

ライダー「気にするだけ無駄でしょう。英雄王の心中など誰にも測れるものではありません」

セイバー「そうですね。約束の日に出向いて馬鹿を見るのだけは我慢なりませんし」

ライダー「ええ。まだ、今なら心に負荷を加える事もなく、穏やかでいられます」

セイバー「その通りですね」

175: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/04(水) 12:30:42.27 ID:KnFkxzUw0
翌日

セイバー「……」

リリリリン

セイバー「……はい。衛宮ですが?」

『我我。我だ。ギルガメッシュだ』

セイバー「おお」

『店は決まった。いいか?一度しか言わんからよーくきけえ』

セイバー「申し訳ありません。いけなくなりました」

『駅前に11時だ。店は―――なに?』

セイバー「行けなくなりました」

『なぜだ?』

セイバー「約束があったのです」

『なぜだ?』

セイバー「ですから……先に約束が……」

『行けると言ったではないか』

179: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/04(水) 12:35:00.20 ID:KnFkxzUw0
セイバー「すっかり失念していました。申し訳ありません」

『……』

セイバー「またの機会に誘ってください」

『……』

セイバー「……」

『……』

セイバー「それでは」

『まて!!!切ることは許さんぞぉ!!!!セイバァァァァ!!!!!』

セイバー「……」

『我がどんなおも―――』

ガチャン

セイバー「んー……」

セイバー「屋敷内の巡回をしておきましょう」

リリリン!!!リリリン!!!!

セイバー「……」

189: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/04(水) 12:40:52.94 ID:KnFkxzUw0
『何故きったぁぁぁぁ!!!!!』

セイバー「先約があったのです!!」

『だがぁ!!!』

セイバー「わかりました。再来週で手を打ってください」

『え?』

セイバー「再来週の末は……貴方のためだけに時間を使いましょう」

『……なんだと?』

セイバー「ですから、約束を反故にしてしまったお詫びに、私を自由に使ってもいいといってるのです」

『セイバーを……自由に……だと……?』

セイバー「それでいいですか?」

『あ……ああ!!!よぉし!!!それで勘弁してやろう!!!!』

セイバー「はぁ……」

『確認しておくが何も約束はないな!!!?』

セイバー「ありません」

『絶対だな!?』

199: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/04(水) 12:45:31.64 ID:KnFkxzUw0
セイバー「ありません」

『本当に本当だなぁ?!』

セイバー「くどい」

『よしよし!!では、再来週末だ!!金曜日でいいか?!』

セイバー「ええ」

『じゃあ、今度こそディナーだぞ!!!セイバー!!!!』

セイバー「はい」

『もう変更はなしだぁ!!!』

セイバー「はい」

『ふはははははははは!!!!!!!首を洗ってまっていろぉぉぉ!!!!セイバァァァ!!!!』

セイバー「はい」

『我が!!この我が!!最高の―――』

ガチャン

セイバー「巡回を始めましょう」

セイバー「……」スタスタ

210: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/04(水) 12:52:16.74 ID:KnFkxzUw0
―――数日後

凛「たっだいまー!」

桜「せんぱーい?」

凛「いないのかしら?」

桜「セイバーさんも居ませんね」

凛「まーた、二人で買い物という名のデートか……」

桜「あら?」

凛「どうしたの?」

桜「留守伝があるみたいです」

凛「誰からかしら?桜」

桜「はい」ポチッ

『あー……我だ。分かっているだろう?本当に留守なのか?それとも電話の傍に立っているのか?』

桜「誰でしょう?」

凛「さぁ?」

『まぁ、我の声を録音し、何度も視聴するためならば許す!!何故なら我―――ピー、午前10時32分です』

215: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/04(水) 12:55:37.67 ID:KnFkxzUw0
凛「切れちゃった」

桜「まだ、ありますね」

凛「何件?」

桜「えっと……」ポチッ

『58件のメッセージがあります』

凛「お、多くない?」

桜「気持ち悪いですね……」

凛「消しましょ、消しましょ」

桜「はい」ピッ

『全件消去しました』

凛「あー、もしかしてストーカー?」

桜「姉さんの?」

凛「案外、桜かも」

桜「そんなー」

凛「桜は可愛いからねー」

233: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/04(水) 13:03:26.72 ID:KnFkxzUw0
―――週末 駅前

ギルガメッシュ「ふははははは。かん、ぺき、だ!!」

ギルガメッシュ「どこからどうみても、決まっている!!」

ギルガメッシュ「結局、セイバーとは一度も直接話せなかったが……あれだけの数のメッセージを吹き込んでおいたのだ」

ギルガメッシュ「気がつかないことはまず、ありえん」

ギルガメッシュ「今日、午前11時駅前ぇ!!ランチを食べ、ショッピングをし、夜はディナー!!!」

ギルガメッシュ「そ、し、て―――」

セイバー『英雄王……今晩は帰りたくありません……』

ギルガメッシュ『ふははははは。いいだろう。王の寝屋に招待してやろう』

セイバー『うれしい』

ギルガメッシュ「こうなる……。僅かな隙もない完璧なプランだ!!」

ギルガメッシュ「ふはははははは!!!!!あーっはっはっはっはっは!!!」

ギルガメッシュ「さて……今は10時を回ったところか……」

ギルガメッシュ「さあ、いつでもこい!!セイバァァァ!!!!!」

ランサー「なにやってんだ……あいつ……?」

243: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/04(水) 13:08:34.41 ID:KnFkxzUw0
衛宮邸

セイバー「シロウー」

士郎「どうした?」

セイバー「巡回が終わりました」

士郎「そうか。セイバー、このあとに予定は?」

セイバー「特にありません」

士郎「そうか。じゃあ、一緒に商店街に行って、買い物するか」

セイバー「喜んでお供します」

士郎「じゃあ、ちょっと待っててくれ」

セイバー「はい」

セイバー「今日は何を買ってもらいましょうか……」

セイバー「……」チラッ

セイバー(そういえば……英雄王との約束……どうなったのでしょうか?)

セイバー(あれから一切、連絡もありませんでしたし……)

セイバー「……まあ、いいでしょう」

257: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/04(水) 13:15:42.32 ID:KnFkxzUw0
商店街

士郎「どれにする?」

セイバー「そうですね……」

士郎「今日の夕食の材料も一緒に買っておくか」

セイバー「うーん……こっちのポテトチップスもいいですね……」

セイバー「しかし……こっちのチョコも……んー……」

士郎「セイバー?まだ、悩んでるのか?」

セイバー「しかし、これは苦慮するところです」

士郎「全く、セイバーは」

セイバー「むむむ……」

士郎「何で迷ってるんだ?」

セイバー「このポテトチップスとチョコです」

士郎「これとこれな。一緒に買えばいいだろ?遠慮なんてするな」

セイバー「シロウ……いつもありがとうございます」

士郎「なにを今更。俺はセイバーが隣にいてくれるだけで嬉しいんだから」

270: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/04(水) 13:21:10.37 ID:KnFkxzUw0
衛宮邸

凛「よぉし……リーチ!!!」

セイバー「揃いました」パタンッ

凛「またぁ?!」

大河「やーい!やーい!」

凛「くそぉ……!!持ってけ泥棒!!」

セイバー「頂きます」

ライダー「この手の遊戯でセイバーに勝てるわけがありません。セイバーは外してください」

セイバー「何を言うのですか。私といえど完璧ではありません。付け入る隙はいくらでもあります」

凛「じゃあ、もういっかいよ!!」

セイバー「望むところです」

大河「お姉ちゃんも負けないわよー!!」

ライダー「今度こそ……」

桜「せんぱーい。夕食はどうしますか?」

士郎「そうだな、もう5時か。作ろう」

279: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/04(水) 13:27:29.94 ID:KnFkxzUw0
駅前

ギルガメッシュ「……」

ピリリリ

ギルガメッシュ「我だ。ああ、延長だ。いくらでも金は出す!!!延長だぁ!!!」

ギルガメッシュ「ふん……予約時間の延長ぐらい聞かれずともしろ……雑種めが……!!!」

ギルガメッシュ「……」

ランサー「よう」

ギルガメッシュ「なんだ、雑兵?」

ランサー「いや、もう12時間近くいるよな?なにしてんだ?」

ギルガメッシュ「あはははは!!!笑わせる!!!時間も分からんとはなぁ!!!」

ランサー「はぁ?」

ギルガメッシュ「我がここに着いてから、まだ10時間と25分しか経っておらんわぁ!!!!」

ランサー「おぉ……そうか。で、なにしてんだ?」

ギルガメッシュ「貴様には関係のないことだ」

ランサー「そうかよ……。じゃあな」

286: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/04(水) 13:32:54.23 ID:KnFkxzUw0
遠坂邸

リリリリン

アーチャー「遠坂だ」

『俺俺』

アーチャー「生憎、貴様のような不出来な息子を産んだ覚えは無くてね」

『分かってるくせによぉ』

アーチャー「どうした?貴様が電話など……大事か?」

『おまえよぉ。金ピカとなんか約束したか?』

アーチャー「しているわけがないだろう」

『なんだ。じゃあ、決闘の線はないのか』

アーチャー「何がいいたい?」

『いや、アイツさ、駅前で10時間以上、居やがるんだ。何やってんのか……』

アーチャー「英雄王が10時間も同じ場所にいるのか?」

『そうそう。馬鹿だろ?』

アーチャー「どういう場所にいた?まさかとは思うが、時計の下とか、建造物の前ではないだろうな?』

296: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/04(水) 13:36:43.18 ID:KnFkxzUw0
衛宮邸

セイバー「む……そろそろ屋敷内の巡回をしましょうか」

凛「セイバー、またするからね」

セイバー「望むところです」

士郎「好きだなぁ、遠坂」

凛「負けっぱなしが嫌なだけよ」

ピンポーン

桜「はぁーい」

士郎「こんな時間に誰だ……?」

桜「え―――」

アーチャー「お邪魔する」

士郎「アーチャー!?」

セイバー「何をしにきた?!」

アーチャー「セイバー……約束を忘れていないだろうか?」

セイバー「え?いや。貴方と約束をした覚えはありませんが?」

305: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/04(水) 13:40:42.87 ID:KnFkxzUw0
アーチャー「本日の午前11時、駅前にある時計の下……聞き覚えは?」

セイバー「ありません」

アーチャー「……凛。覚えは?」

凛「ないわよ」

アーチャー「桜も?」

桜「ありません」

アーチャー「……では、誰もいい。英雄王からの伝言を聞いた者は?」

士郎「ギルガメッシュの……?」

ライダー「いいえ」

アーチャー「なんでもいい。メモでも電話でも、留守番電話の伝言メッセージでも」

凛「あ」

アーチャー「やはり君か……そんなことだろうと思ったがね……」

凛「いや、悪戯だと思って……」

アーチャー「もういい。セイバー、早くいけ」

セイバー「ど、どこにですか?」

323: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/04(水) 13:45:31.66 ID:KnFkxzUw0
駅前

ランサー「もうこねえよ。諦めろ」

ギルガメッシュ「いや!!来る!!!セイバーは来るといったぁ!!!」

ランサー「おいおい。もう12時間になるぜ?無理だろ?」

ギルガメッシュ「黙れ!!雑種がぁ!!」

ランサー「近くにいい居酒屋あるんだ。そこで飲もうぜ?な?」

ギルガメッシュ「消えろ雑兵!!!」

ランサー「やめろよ。なんかこっちまで虚しくなってくるじゃねえかよ」

ギルガメッシュ「同情など虫唾がはしるわぁぁ!!!!」

ランサー「……」

アーチャー「―――英雄王」

ギルガメッシュ「なんだ、フェイ―――か……!?」

セイバー「……あの……」

ギルガメッシュ「……」

ランサー「セイバーかよ?!趣味わりー!!」

342: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/04(水) 13:51:41.89 ID:KnFkxzUw0
セイバー「趣味が悪いとはなんですか?!」

ランサー「おいおい。もっといい女を代わりに連れてくるのかと思ってたんだけどよ」

アーチャー「待ち人を連れてきたに過ぎない」

ランサー「でも、これだけ待たせといてそれは―――」

ギルガメッシュ「……」パチンッ

ランサー「お―――」

ドンドンドンドン!!!!!!

ギルガメッシュ「セイバー……きたか」

セイバー「お待たせしてしまったようで……」

ギルガメッシュ「なぁに。瑣末なことよ。我も今、来たばかりだ」

セイバー「はぁ……」

アーチャー「これからどうする?店はほぼ閉まっているぞ?」

ギルガメッシュ「ふん。我を誰だと思っている?金さえあれば、すべての店は24時間営業する!!!」

セイバー「あの……行きたい場所があるのですが」

ギルガメッシュ「ほう?いいだろう」

367: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/04(水) 13:58:24.04 ID:KnFkxzUw0
公園

セイバー「ここで休憩にしましょう」

ギルガメッシュ「そうか」

セイバー「……」

ギルガメッシュ「では、これからのプランだが―――」

セイバー「どうしてこんな時間まで……?」

ギルガメッシュ「愚問だな。貴様が来ると行ったからだ」

セイバー「家のほうまで迎えに来るという考えはなかったのですか?」

ギルガメッシュ「行き違いになる可能性もある」

セイバー「うーん……」

ギルガメッシュ「さあ、いくぞ。時間が惜しい。あと1時間もしないうちに今日が終わる」

セイバー「……」

ギルガメッシュ「セイバーを自由に使える貴重な日だ。一秒たりとも無駄にはできんな!!」

セイバー「えっと……英雄王……あの……」

ギルガメッシュ「……なんだ?」

388: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/04(水) 14:05:54.95 ID:KnFkxzUw0
セイバー「そこまでの好意を寄せてもらえることに悪い気はしませんが……」

ギルガメッシュ「……」

セイバー「私には心に決めた……人が……」

ギルガメッシュ「……」

セイバー「います……ので……」

ギルガメッシュ「ほ……ほほう……そうか……」

セイバー「はい。貴方の想いに応えることは……」

ギルガメッシュ「ふふふ……ふふふふ……」

セイバー「英雄王?」

ギルガメッシュ「ふはははははははは!!!!!!あははははははははは!!!!!!!」

セイバー「な、なんですか?!」

ギルガメッシュ「ふははははは!!!!!セイバァァ!!!我を笑い死にさせるつもりかぁぁぁ!!!!」

セイバー「え?」

ギルガメッシュ「図に乗るなよ。我に寵愛されているだけで、そのような勘違いをするな。所詮、貴様は我にとっては玩具の一つにすぎんのだぞ?」

セイバー「な、なに!?」

409: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/04(水) 14:12:33.27 ID:KnFkxzUw0
ギルガメッシュ「当然であろう?我に並び立てる者など過去においても未来においても、我以外に無し!!!」

ギルガメッシュ「それは貴様とて、同じだ。セイバー?」

セイバー「……」

ギルガメッシュ「さあ、我の玩具は玩具らしく、これから―――」

セイバー「断る!!」

ギルガメッシュ「……」

セイバー「長時間も待たせてしまい……詫びるつもりできました」

ギルガメッシュ「え……」

セイバー「多少のことなら何でも従うつもりだった……だが……!!」

ギルガメッシュ「……」

セイバー「そのような言われ方をして、私は従えない!!!」

ギルガメッシュ「あ……いや……う―――」

セイバー「英雄王!!この度の非礼は詫びよう!!だが、貴殿の放った侮辱は到底看過できるものではない!!!」

ギルガメッシュ「まて……」

セイバー「……今日は、本当に申し訳ありませんでした。失礼します」

439: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/04(水) 14:20:58.92 ID:KnFkxzUw0
ランサー「お、いたいた!」

ギルガメッシュ「……」

ランサー「今からでも飲みなおそうぜ、な?」

ギルガメッシュ「黙れ」

ランサー「あんなちんちくりんより、もっといい女はいるって」

ギルガメッシュ「ふん……貴様は何も分かっていない」

ランサー「なにが?」

ギルガメッシュ「簡単に摘み取れる花など、なんの価値もありはしない」

ギルガメッシュ「絶壁の上、誰もが手を伸ばし、尚摘み取られることのない花こそが美しい」

ランサー「んで?」

ギルガメッシュ「余計に惚れたぞ……セイバー……我が認めただけのことはある……!!ふはははははは!!!!!」

ランサー「まぁ……がんばれ……応援はしてやる……」

ギルガメッシュ「言ったな?雑兵?」

ランサー「え?」

ギルガメッシュ「では、問う。どうすればセイバーは我に振り向くと思う?」

459: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/04(水) 14:29:57.97 ID:KnFkxzUw0
ランサー「は?」

ギルガメッシュ「どうなんだ?早く吐け」

ランサー「どうって言われても……。そんなのセイバーに直接聞けよ、めんどくせえ」

ギルガメシュ「直接?」

ランサー「アイツを振り向かそうなんて狂気の沙汰だ。正攻法じゃまず無理だろう」

ギルガメッシュ「……」メモメモ

ランサー「でも、ああいう奴は曲がったことは嫌い。真っ直ぐなやつにほど、好感を持つだろうな」

ギルガメッシュ「ふんっ。それぐらいなら我でも知っているわ」メモメモ

ランサー「普通なら好みとかを直接訊くなんて絶対に駄目だが、セイバーに限って言えば大丈夫だ」

ギルガメッシュ「なるほど」

ランサー「だから、直球ど真ん中から攻め込んでやれば、結構いいところまでいくんじゃねえか?」

ギルガメッシュ「ちょっきゅう……どまんなか……」メモメモ

ランサー「ま、あとはお前次第だな」

ギルガメッシュ「無駄な時間だったな。有益な情報が一つもなかったではないかぁ」

ランサー「なんだと、こらぁ?!」

468: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/07/04(水) 14:35:15.94 ID:KnFkxzUw0
数日後

リリリリリン

セイバー「はい。衛宮ですが」

『我我。我だ』

セイバー「……誰だ?」

『そういう意地悪はもういい。で、お前の好みはなんだ?』

セイバー「またですか?もう三日も同じ事を……」

『いいから答えろ』

セイバー「……」

『何でもいいから好きな物をいえ』

セイバー「ライダー」

ライダー「面倒見切れません。貴女自身で解決してください」

セイバー「そんな……」

『なんだ?ぬいぐるみか?それとも遊園地か?全部、我が買い揃えてやるぞ?ふはははははは!!!!!!セイバァ!!!』


おしまい。

引用元: ・ギルガメッシュ「我我。我だ」セイバー「誰だ?」